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良き前哨地は良い隣人を作る 投稿日:2010年4月3日
ドーン(Dawn)は歓迎の間に足を踏み入れようとしていた。彼女は扉近くの鏡の前で立ち止まると、頭の後ろの茶色い巻き毛をセットし直した。強情なその髪はすぐに逆らって自由気ままに飛びだす。ドーンは唇を固く結んで、頭をゆっくりと振った。
「どうしたら女王の役割を全うできるのかしら?」 鏡の中の自分に問いかけるようにして考える。「私は戦士。第三世代のロイヤルガード。オーク、オフィディアン、デーモン、サイクロプス、突然変異した植物、あらゆる種類のモンスターと戦ってきたわ……そして今は有力者や高位の聖職者のみなさんとお茶会。どっちの方が苦痛なのかはわからないけど」
別にガーゴイルやザー女王(Zhah)に問題があったわけではない。ザーは誠意ある対応を見せてくれるのだが、ドーンはガーゴイルたちが何かを隠している気がしてならなかった……ただそれが何かはわからないし、証拠も無い今、少しでも同盟者である彼らにその疑いを見せるわけにはいかなかった。一つだけ確かなのは、ザーが助けを求めてここに来たこと。ガーゴイルは助けを必要としていて、徳にかけて、いや、それはより原始的な本能が命じるのだが、ドーンは彼らを助けなければならないのだった。とはいえ、彼女は今の立場で許されるよりも、もっと率直な行動を取ることを望んでいた。着飾り、常に笑顔を振りまきながら、優雅な立ち居振る舞いをする陰で、彼女は今や本来の自分と二つに切り裂かれてしまうような気がしていたのだ。
左の眉を整えるために指を濡らし、髪を整えることは諦めた。最後にガウンを整え、大きく深呼吸をしてから、歓迎の間へと入っていった。
ザー女王は部屋に一人(もし魔物のような翼を持つ八体の護衛のガーゴイルを無視できるなら)佇んでいた。ドーンは再び唇を固く閉じないようにするため、無理矢理微笑んだ。ガーゴイルはちょっとだけ、そう、はっきり言えば恐ろしい姿をしており、若い時から本の内容は表紙で判断しないように散々教えられてきたにも関わらず、やはり太股に隠した短剣だけでは心細い気がしている自分に気づいた。
「ようこそザー女王、再び会えたことを嬉しく思いますわ」 冷静に、しかし誠意ある対応でお互いに挨拶を交わし、ほほとほほを重ねる。ドーンの髪がザーの角に引っ掛かったのだが、速やかに、礼を失さぬようにドーンは髪を整え直す。挨拶がようやく終了したので、世界に名だたる二つの王国の首領たちは、腰を落ち着けてお茶会を始めた。
ドーンにとって、永遠に続くかと思えた無意味で儀礼的な会話のあと、ザーがこの会合の本題に入った。「親愛なるドーン、こんな儀式を続けるのもほんとにうんざりだし、二人の問題について話しませんこと」
「そうですね。ザー」 ドーンは体を前に乗り出した。「ステイジアン・アビスのこと……」 ブリタニア城とザーの宮殿の間の最適な飛行経路を論じるよりも、戦術的な軍議の方がよほど面白い。せっかく贈ったルーンブックをザーたちが使おうとしないことに、ドーンは少しいらついていたのだ。「考慮すべき重要な問題です」 ドーンは続けた。「ブリタニア側ではアビスを閉じるつもりはありませんし、入口を消去することもありません。二つの世界の間の移動を妨げてはならないからです。ブリタニアはあなたの臣民との協定を守りますし、あなた方との文化交流を、価値あるものと判断しています」
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