BNN – 覚醒 – 第八章が更新されました。
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BNN – 覚醒 – 第八章 投稿日:2012年9月19日
短い話を終えた後、彼は再びゲートに入ったが、今度はひび割れ崩れた大地に着いた。一体のハーピー(harpy)が翼をばたつかせながらギャーギャーと喚きたてて飛びかかって来たが、彼は全く動じなかった。さっと手をあげ、呪文を唱えた。「Vas Ort Grav!」稲光が走ったかと思うと、激しい雷に打たれたハーピーは焼け焦げた肉塊となって転がり、天空は轟く雷鳴で震えた。もう一体のハーピーが近寄って来たが、ローブの乱れを直したロード・ブラックソン(Lord Blackthorn)がじろりと睨むと、このハーピーは勇気より慎重を選んで逃げ去っていった。彼はゲート周辺を軽く見渡してから、名誉の神殿の時と同じように、両腕を広げた。この場所でも、同じ力が感じられた。使われることをじっと待っている、ある明確な目的に定められた力……。彼の両腕は下ろされた。ここにどんな力があったにせよ、それは必要とされたものではなかった。再びゲートに足を踏み入れ、テルマーのキャンプに向かった。
キャンプに到着するとすぐに彼は座り、自分の記録を調べた。治療薬は病を寄せ付けず、薬を与えられた者は全員小康状態を保っていた。病が再発したという事例もなく、再流行の兆しもなかった。ガーゴイルの伝染病の克服、名誉のムーンゲートの修復が行われてもなお、数々の問題が残っていたのだ……。彼を最も悩ませるもの。それは、かつてブリタニアという一つの王国にまとまっていた各街で起きている問題だった。いくつかの街は全面戦争の瀬戸際にあり、それを止める手だてはそう簡単には見出せそうになかった……。だが、どんな問題にも必ず解決策はあるはずだ。他の問題のいくつかは、既成の枠組みにとらわれない自由な発想に基づく思考法である水平思考をやや多く重ねれば済んだ。重い足音がある人物の到着を告げ、ブラックソンはその人物に向かって手招きした。
「ロード・デュプレ(Lord Dupre)、また来ていただけるとは。あなたのことだからトゥルー・ブリタニアンズ(True Britannians)のために遠方に向かったのかと思っていたよ」
「できることなら、オレだって冷たいヴァロライトと鉄が全ての問題を解決してくれる場所にいたいさ。貴族たちが言葉と世論の誘導で戦う場所なんてごめんだね」
ブラックソンは両手の指先を合わせて思索にふけり、水平思考で浮かんだ独自の考えに戻ろうとした。「デュプレ、あなたの答えは全くの誤りではないと思う。正しく行うこと、それが必要だ」
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